営業という仕事と営業という作業

こんにちは。
伊藤尚希です。

今回は営業という職種で働き始めた人、営業部という部署がある企業、その全ての段階で意識して欲しい部分のお話です。
これが意識できているのとできていないのでは10年後に大きな差が出ます。
個人は自分のキャリアの為、企業はスケールするもしくはジリ貧にならない為に読んでいただければと思います。

営業という作業

営業という職種を少し調べれば、どういうことをするのかいくらでも出て来る。
それどころか、コツやノウハウ、トップ営業がしていること、デキる営業が意識していることなどまでが様々なところに転がっているし、各企業でもテンプレやスクリプトなどの営業用マニュアルなどがある。

ということは、これに沿って行動していけば、余裕で営業なんてできるようになりそうである。
実際の話、確かに短期で言えば成果が上がることが多い。
ところが、中長期の戦略を立案をする立場になる、転職で会社や業界を変わる、成果を上げたことによる出世など、環境が変わると突然できなくなる人が激増するのだ。

なぜこのようなことが起こるのだろうか?
それは営業という作業をしているからである。
営業という仕事じゃないの?と思われることだろう。
しかし、実際は様々な情報に基づいてその上をなぞっているだけなので、言われたことをしているのと変わらない。
言われたことだけをやっているのは仕事と言えない。
単純作業の繰り返しでしかないのだ。
だから、環境が変わってしまうと突然できない人が現れるのである。

営業が作業化してしまう最大の悪影響は、個人でも企業でもここ一番の時にきつくなるということである。
個人で言えば、上記した転職や立場の変化など、企業で言えば、スケールして大きくなる時や逆に業界動向などで経営が厳しい時、新規事業にチャレンジする時などに顕著に出る。

当たり前と言えば当たり前で、ただでさえ単純作業の繰り返しのせいで環境の変化に対応できない人が、ここ一番という大きな変化の前では何もできないのは普通の話。
本来は営業という仕事をしていなければいけないのに、経営者や大きな成果を出したことのある人に合わせて再現性を追求してしまうばかりに、営業が作業化してしまい仕事ができない人が量産されてしまっている現状は非常に危ういと言えるだろう。

営業という仕事をするには?

では、営業という作業を仕事に昇華させるにはどうすればいいのか?
答えは考えることである。
具体的に話をしてみよう。

同じテンプレに沿った行動をするにしろ、その行動はどのような考えから出て来た行動なのか?この工程を挟むだけで大きく質が変わる。
『まずは量が大事』という流言飛語に惑わされてはいけない。
本当にデキる人は必ず考える工程を挟んでいる。
本人に自覚がないことが多いので量が大事などという話がまことしやかに流れているが、デキる人の話をよくよく聞いてみれば、無意識に考えることを挟んでいるのが現実だ。
無意識にできている人はほとんどいないので、意識して考えることを強くお勧めする。

そして、更に仕事として飛躍させる為には考えて自分に合う形にカスタマイズするということだ。
元々のテンプレやスクリプトというものは、経営者や成果を出した人が作り出したものなので、誰にでも当てはまる訳ではない。
それに沿ってやってしまうと、自分に合っていないので思考停止しなければ行動が付いて来なくなってしまうし、自分に合っていないので中長期では結果が出ない。
無理矢理合わせに行くというのは非常にストレスが掛かるので思考停止が起こりやすいので気を付けた方が良いだろう。
しっかり考えた上でテンプレやスクリプトなどを自分流にカスタマイズしてアップデートしていくと、考える訓練にもなるので、何か変化が起きた時でもその都度新しい環境に合わせていくことができる、そもそも自分に合っているので中長期での成果も出やすい。

「考えてやってます」という人は多いが、実際に何を考えているのかを言語化できる人は少ないだろう。
それはやはり考えていないからなのだ。
考えることとは何を指しているのかを正確に意識することで作業は仕事になる。

まとめ

営業という仕事と営業という作業の違いは分かっていただけたのではないだろうか?
考えるということなんて単純で微々たる差だと思ったかも知れないが、短期での小さな差は、中長期では取り返しの付かない差となって現れる。
そして、考えるという行動はそれほど簡単ではない。
今まで何百人という人にマネジメントやコーチング、コンサルティングをしてきたが、人間はすぐに楽な方向に流される生き物なので、考えるという行動をいつの間にか省いてしまう。
なので、私がこの手のお話をマネジメントやコーチングをさせていただく時は、数年単位で毎月1 on 1をさせていただき癖として定着するまで話をし続ける。
そうやって初めて考えることは血肉となる。

皆さんがしていることは本当に営業という仕事だろうか?
自分自身の為にも、企業の発展の為にも、しっかりと仕事をしていただきたいと思う。
気付いた時にはもう遅いという状況に陥らない為に。